承認欲求の骨

総合的な言語感覚を磨く練習です。

淡家朴『よりぬきzig11月号』(2019)

 

私を軽蔑する人にも、性愛関係の為に優しくする人や、利害関係の為に慕う人がいるということ。それを想像しては胸が痛むのです。人間は、虚しい。

11/1

 

人を傷つけたくもなければ、傷つけられたくもない。純粋に、生の喜びを積み上げたい。認め合いたい。

11/1

 

実務時間に脳内に現れる他人の時間。

11/3

 

幸せなのではなく、そういう気分になったということを言語化して、信仰している。

11/4

 

全裸になり、鏡の前に立つ。天稟の身体で、何ができるかを考える。

11/5

 

筋収縮と弛緩。

11/5

 

11月の朝。幼稚園の鉄の門を開ける音が響いている。

11/5

 

歩道に乗り上げたデイサービスのハイエース

11/5

 

ワームのような形状の乳児。

11/5

 

ODも飲酒も喫煙も性的刺激も、脳に幸福(という幻想)を知覚させる記号でしかないということに関して、頑是ない未成年のように無知ぶるのは、大人としてはどうでしょうか。かえって誠実ではないのではないでしょうか。

11/5

 

首の皺を伸展させ、指で擦り嗅ぐ。

11/6

 

ベージュのトレンチコートの女。ベージュのトレンチコートの女。ベージュのトレンチコートの女。ベージュのトレンチコートの女。

11/8

 

ただ何となく盛り上がってるところへアクセスして、ただ同じように踊って、ただそれぞれのところへ帰っていくだけ。

11/8

 

幸田露伴五重塔を読む。

11/10

 

眠気という他者が、私の中に入って来るのを待つ。明日、目覚めた時の意識という他者が、私の肉体を存続させるだろう。

11/10

 

受精から出産、出生後すべての巡り合わせまで、すべてが奇跡であるが故、どの奇跡が最も刺激に長け、感動に至れるかを、半ば暴力的に捨象し、それを直向きに永久に信仰する。そしてそれ以外を直向きに永久に見ない。

11/11

 

一度も現在にならなかった無意識のうちの憂鬱が、言葉を与えられたいと跳ねている。

11/13

 

いつもファミリーカーの窓から、太い腕を出している人。今日は、太い腕を出していない。寒いからだろう。

11/14

 

男がタッパーをスプーンか何かで刮ぐ音がする。うまいのだろう。

11/15

 

ポケモンにはレベルという概念はあるが、寿命という概念はない。永遠の生が与えられている。ユートピアだ。

11/15

 

生命保険のコマーシャルが、「人生楽しもう」と言っている。

11/15

 

性欲の対象という、生物の根源的な観念をも、商品化するということ。

11/16

 

機械油と食物資源と、精嚢の中の精液。

11/16

 

幸せになりたいとは、つまり排他的な感覚的契機を受益したい。或いはその内容を、共同体から切り離して占有したい。或いはそのことについて、考えない権利を、忘却する権利を、行使したい。選択的無知でありたい。

11/18

 

家計に加え、ゲーム内の仮想のお金などもやりくりしなければならない。

11/18

 

岩倉玲音。

11/18

 

アルボナース、押す、冬。

11/19

 

私が現実に存在した、ということを他者が描写するということの、驚き。

11/19

 

肥え太ったウーパールーパーのような乳児が、手足をばたつかせているのだ。

11/19

 

ゲームは何故面白いのか。ということを考えていました。答えは、光刺激を臨む、操作することの根源的快楽、です。乳児が光源に向かって手を伸ばしたり、乳房に向かっている様を見て、着想を得ました。これは、おそらく(私はしたことがない)パチンコなども同じです。

11/19

 

パチンコやゲーム画面は、結局、乳房なんだと思います。

11/19

 

しかし、ゲーム画面は乳汁を分泌しない。ということの絶望感。

11/19

 

防衛機制や抑圧、自己保存慾求の発現として自分がしたことを言語化して確認する。今後は意識して、それをする。最終的には脳波を操作する。

11/20

 

私はこの世界のことをほとんど知らないのに、甘い食物や柔らかい食物を食べる。申し訳ないと思う。

11/20

 

子を残して死のうと欲望している親が、子に対して子が先に死ぬことを許さない上で、さらに家族の絆のようなものを求めるのは、欲張りだ。

11/21

 

自分の知性にはないところのものを使って、ものを考えることは、健康に良くない。

11/22

 

セーブ画面見ながら朝食。

11/22

 

画面に接続した眼球と、インターフェースを操作する指。後は観念するものを待つ。黙る。

11/23

 

岡田尊司の回避性愛着障害を読みながら、子をあやす。

11/23

 

惣菜コーナーとのインプロビゼーション

11/23

 

テレビの電源を入れると、ジャマイカ麻原彰晃、のような男が映った。日本代表だという。

11/23

 

煤の灯は、結構できてるのだけど、この結構できてる、を更新したい。

11/25

 

外見が可愛い人。というのは、身体の表面が可愛い人、ということか。しかし、身体の中身は、ぐっちゃぐちゃの血と肉と臓物が詰まっている。

11/27

 

面の皮が、可愛い。ということ。

11/27

 

紋切り型の道徳的教訓を聞いて、気分が悪くなり、吐き出した吐瀉物が、やがて自分の文字を書く為の墨になる。

11/27

 

レインの自己と他者を少し読んで寝る。

11/28

 

朝の挨拶で大脳リハします。PAさん、もう少し世界を返して下さい。

11/29

 

あ、外世界です。内世界少し下げて。

11/29

 

「やる気」などという不確かな心的過程を偏重し、それがないものは速やかに淘汰されて消えていきなさいという原理で動くの、もうやめませんか。

11/29

 

古典的空間恐怖によって、両端の席から座っていく人々。

11/29