淡家朴『社会』(2019)
職場の暗い翳になる鬼が居ます。
顔を顰めて、世間にぐれています。
弱いものいじめが大好きな彼女らは、「お局」と呼ばれたりしている人です。
何らかの不遇因を持って、心のうちで世間を呪っている。とりわけ、可能性のありそうな若者に対し、それらを再起不能にする為に凄まじい暴力(精神的抑止力)を発明、研究している陰険な人々です。
不妊治療に失敗した女。
今日も子供が学校に行かなかった女。
ボケたバアさんの介護をしている女。
夫がうつ病になった女。
とにかく家庭が冷え切っている女。
彼女らは、その職場にしか通用しないような狭隘な経験をデカデカと掲げて、新人潰しに勤しむことで、鬱憤を晴らすようにしか生きる希望が無いのです。
彼女の心の声に、少しだけ耳を傾けてみましょう。きっと荒んでいること必定。
なんで、私の子供だけ!
なんで、私の夫だけ!
なんで、私だけ!
私だけが不幸なのよ!
こんな小娘のことなんて知ったことか。
ズタボロになってしまえばいいのに。
だって、だって、私だけ…!
こんなのって、あんまりじゃない…。
恵まれたら最後、彼女らの大いなる呪いの対象となってしまいます。