承認欲求の骨

総合的な言語感覚を磨く練習です。

よりぬきzig9月号(2021)

 

欲しいのは、いい人とも悪い人とも分からぬ人と、何らかの判断を意識してしまわぬ距離にとどまるための、関係保留のコミュニケーション能力。

 

人を負かせないと人と共存できない人々は、戦うことの諦め方が分からない兵器のようだ。

2021.9.1

 

 

言葉が思いつかなかったので、「うーん」と口ごもると、「うんじゃねぇよ!」と大声で社会人に言われて、ちょっとフリーズしてしまった。

 

明確な暴力を使う社会人に負ける。

2021.9.3

 

 

私が精神薄弱であるということが原因で、職場に居場所はない。

2021.9.6

 

 

偶さか祖母に電話するが、その話し方、抑揚、間におけるルナティックさに圧倒される。

2021.9.7

 

 

ELDEN RINGなどの新作ゲームトレイラーを見たり、マジックザギャザリングの新弾が出た日に専門店にふらっと出かけたり。そういうことが、全て虚しい行いのように思えてくる。かつてあった一体感や所属感、没入感は、もうないのである。遠ざかってしまった。

 

ゲームやカードという趣味は、家族から顰蹙を買うのである。つまり、そういうカルティベイトの鈍磨さが、家族という全体性優位の行動原理とは本質的に相容れない。宿痾と見做される。

2021.9.8

 

 

何らかの正義を固持し、腐敗を遠ざけ、強く生きているみたいな世界認識、説話構造の採用の一切を諦めて、下を向いて、絵を描く。

 

虚仮の一念で続けてる創作が、完全に無意味であると確信し、でも展開する。毎日の排泄物に名前をつけるみたいな自己愛。

2021.9.9

 

 

私は今日仕事で凄く疲れたのだが、妻に仕事で凄く疲れた人の座を奪われたので、今日は疲れたを言わないでいる。夕飯を作って、娘を風呂に入れる。

2021.9.13

 

 

ミュージシャンを語る上で、キーワードだと信じられ、引用されてきた全ての「椎名林檎」という記号を全て供養したい、そういう大きな気持ちを以って作曲したい。

 

「終わっている方が輝く命もある」という仮タイトルの曲をずっと捏ねくり回していて、それに囚われている。

 

感性が豊かな人が死に臨む時に、「全てを知らないふりして盲点だったみたいなところから諭す」という説話構造を全て粉砕して、それはバカだと罵りたい。

2021.9.14

 

 

疑いもなく「今が幸せである」と、ありありと実感できる、などという暴挙は、既に宗教的に狂気であるか、ラリっているかのいずれかである。

 

「今が幸せ」などという言いは、極めて消費社会的な乱暴な言いである。本当に幸せであるならば、そういう直接的な表現は避けて、もう少し丁寧に、その思いの粒子を払底すべきである。

2021.9.15

 

 

休日の朝のゲームの最初の30分のような清冽さ。例えばマインドフルネスや勤行で得たいのはそういう脳状態。

2021.9.23