承認欲求の骨

総合的な言語感覚を磨く練習です。

よりぬきzig10月号(2020)

 

産んだことの責任を取ろうとしない親のもとに生まれた子が反出生主義者であるのと、産んだことの責任を、ある一社会においては直向きに取ろうとしている親のもと生まれた子が(中途半端に表面的な知識をつけて)反出生主義を自称するのは、月とスッポン。兎角、真剣にやらなければならないこと。

2020.10.3

 

 

セックスとドラッグに"ちゃんと向かう"という伝統性が、2020年のロック感だったのかな、とぞ思ふ。

 

「ジャンキーがロックだなんてカッコ悪いです」というロックンロール的説話構造が完全に崩壊したんだな、という。

 

「自分のことしか考えない閉じた時間をもつこと」をこそが人間の最上の仕事であると思わせてくれるような、そんな霊感溢れるロックというものが聴きたい。

2020.10.4

 

 

ギフテッドを自称してた子、結局、登校拒否になってしまった。丁度去年、「作者の死」という曲でその子を歌った。

2020.10.5

 

 

管理職に諸々の書類を提出する。結構複雑な内容だと思うのだけど、どんどん記入して、印鑑をぽんぽんついていく。その姿。その手の運び。一切の迷いがない。崩れゆく遺跡を脱出するインディージョーンズのようだ。

2020.10.7

 

 

ほんと久々に勉強を少しした。オートポイエーシスつながりでルーマン社会学。「人間の不信に基づいた人生のシンプル化」とは、仏教の悟りの言い。

 

「本質をもカバーしたシンプルさ」っていうのは、自己啓発情報産業の発明品。

2020.10.8

 

 

"音楽摂取や読書、映画鑑賞などを頑張って結局何がしたいのかというと、人生を豊かにするとかQOLを上げるとか、そういう資本主義的記号消費の道を直向きに進みたいのではなくて、自分の楽曲に注ぎたい。"という体は守りたい今のところ。

2020.10.11

 

 

具材が煮えるのを待つ時間って、ほんと実存主義的というか、思弁的だなぁと思う。おでんを煮込んでいる。存在論的おでん。

 

「これでは良くないよ」と他人から指摘された時に素直に受け入れず、何らかの認知不協和を起こし、指摘を「非難」と変換して、「これで良い理由」をカオスから取ってくる。カオスには言語で表象し得る限りのどんな理由もある。それをデリダ的に言って「偶有性」と呼ぶ。

2020.10.13

 

 

「チキってんのか」「チキンかよ」みたいな言葉で盛り上がる子どもたち。「リスクヘッジから身銭を切らない態度」に対しては軽蔑してよい、という倒錯。民主主義政治腐敗を垣間見る。

2020.10.15

 

 

ヤバイのに放って置かれたから仕方なしにやるしかなくて、で、やったら結構できた。その連続で人は狂う。

 

何の為に生まれて、何をして生きるのか、わからないまま終わってよし。

 

私一人がふと居なくなれば、一番綺麗だろう。

2020.10.20

 

 

現代人は、「素朴な人格の出来上がり方」を尊重しない。寧ろ尊重しなくてもいいもの、卑下されるべきものだと思っている。例えば「壮年期の引きこもり者」に対しては、何らかの発達未成熟があると決めつける。違う。彼らは人格が素朴な出来上がり方をしたというだけかもしれない。

 

「全く合理的ではない素朴な出来上がり方をした人格には居場所などないので速やかに淘汰されて消えなさい」というのが、残念ながら今の資本主義現代社会。

 

現代社会で病む」という現象は、つまり、「ある人格が、複雑で素朴な出来上がり方をしようとしているのにも関わらず、それを無理やり曲げて、現代社会にコミットメントできるような矯正を強いられることへの、アレルギー反応」みたいなもの。

 

合理性を追求できる才能を持ち合わせたパワフルな人間たちは、みんなが強いわけではないということを故意に忘却し、それは努力によって克服できるものだと信じ込み、また教化することによって、自身の威信を高めようとする。ただそれが厭だった。とてもグロテスクで、優しくないからだ。

2020.10.21

 

 

鬼滅の刃が好きな小学生やその親たちに対して、なんかホログラム的というか、"本当に存在していない感じ"がする。実態のない流行の中の漂流物という感じで空疎な、抜け殻のような感じ。

2020.10.22

 

 

「照れ臭くて今さら好きだなんて言えない」という情愛への諦念。クーリッジ効果。前立腺で思考している。

 

「照れ臭い」という感情は、ペニスの性管から尿道への捉え直し。

 

男は尿道になっていくとは、ドゥルーズ

2020.10.23

 

 

拗れていけばいい。遠慮せずに拗れる。拗れ拗れ拗れ拗れて、やがてぽろっと千切れるまで。そしてぽろっと千切れたら拾う。それが果実だから。

2020.10.24