淡家朴『家族禁止』(2019)
性愛主義的イデオロギーが厭だ。
換言すると、「家族」「ファミリー」みたいな価値観に、非常に強く深い懐疑心を抱く。
何故?
何故だろう、理由は分からない。
過去の自己分析によると、エディプス期の通過に失敗しているらしい。
確かに、強い力で抑えつけられるようなモチーフの作品は、これまで病的なまでに繰り返し繰り返し発表してきたが…
かといって、今、SNSを中心にして、急進する左翼的、加速的思想の中で現れた「反出生主義」は、どうか…。
人間の生命や、血のカルマに関して、
ほとんど全てが、私とは違う考えをして生きている。
そんなことを思うことが、大変多かった。
分娩室を出て、妻と握手を交わし、私は一人、帰途につく。
ハンドルを握りながら思う。
まだ0人だ。
私の理解者は、まだ0人だ。
しかし、それでいい。
いや、それがいい。
耳を澄ませば、アンチテーゼが聴こえてくる。
それはナルシズムだという。
理解者のいない、というものに酔ったバカ。
パトロンを避ける為に、あえて違う方を誇張しているだけの、衒学者。
どれも、間違ってはいない。
しかし、それは本当ではない。
私の頭中にある観念は、それではない。
これは単純否定では、ない。
では、どうするか。
余生をかけ、説明し続けるしか、ない。
表現するしか、ない。
更新するしか、ない。