淡家朴『見つからぬ相談』(2019)
今、一つの小さな島国が滅びようとしている。
そういえば公園の桜が、咲いていた。
生きる意味が見つからないという常套句を漏らし続けるメランコリー患者のように。或いは、働く意味が見つからないという常套句を吐き散らかす万年転職志望者のように。
そして、そういった全ての弱音を、何一つ汲めない、知らないという顔をして、素通りしていく世間の人という目の群れのように。
心療内科の医師や、転職支援サービスのコンシェルジュの視座からでは、ちょうどその目線の翳になって見えないところにある相談。極めて抽象的で、言葉を与えられないようなこと。頭の中で、浮かんでは消え、浮かんでは消えていく、短編のアイデアのようなこと。
抽象的なものを、抽象的なままで表現をすると、滑稽なほど簡素なものになる。例えば、何処かで聴いたことのあるJ-POPのワンフレーズのような。そんな既視感や、もう飽きたという感覚を、読み手に印象として保存してしまうものなど。
何度も書いて、何度も消して。
或いは、考えたままで、空白の時間を過ごす。